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円錐角膜に関するQ&A


円錐角膜に関するQ&A

円錐角膜で角膜移植を進められた。海外での角膜移植にも興味がある

円錐角膜で本当に角膜移植が必要なのは1〜5%程度です。某大学病院では30%だそうですが、コンタクトレンズの処方技術さえしっかりしていれば、そのようなことは絶対にありません。角膜移植を決定する前に、円錐角膜に対するコンタクトレンズ処方の専門家に相談するようにして下さい。円錐角膜に対する手術の専門家とコンタクトレンズ処方の専門家は必ずしも一致しません。また円錐角膜に対してコンタクトレンズ処方の経験を数多く持っている眼科専門医は日本でも10人未満です。通院している眼科の担当医に相談して、そのような先生を紹介してもらうようにして下さい。また日本の角膜移植の技術も進歩しており、高いレベルにあります。欧米に引けを取ることはありません。手術の順番も、コンタクトレンズの処方技術が進歩したことで角膜移植を受ける人も減少し、輸入角膜を角膜移植術に利用できるようになり、以前ほど待つことはないようです。

円錐角膜で、ハードコンタクトレンズがどうしても装用できない。
以前、いろいろやったが、これ以上は工夫しても無理だといわれた。

そのようなことはまずありません。ハードコンタクトレンズを装用しても満足な視力が得られないことはありますが、ハードコンタクトレンズ自体が装用できないということはほとんどありません。そのような患者さんのコンタクトレンズを確認すると、処方に問題があることがほとんどです。いろいろな処方技術を駆使すれば、何とかなります。私自身の処方経験だとハードコンタクトレンズが本当に装用できない人は、円錐角膜患者1,000人に6人ぐらいです。

海外で販売されている円錐角膜用レンズに興味がある

海外で販売されている円錐角膜用レンズは多くは多段階カーブハードコンタクトレンズです。日本でも数種類の多段階カーブハードコンタクトレンズが発売されています。私も海外で円錐角膜用コンタクトレンズを研究した経験がありますが、現段階であれば、絶対に日本が欧米よりも劣るということはありません。また国内の1種類の多段階カーブハードコンタクトレンズが合わなかったからと入って、直ぐにあきらめないで下さい。時間さえ十分にかければ、あなたの円錐角膜に合うレンズは、日本国内で必ず見つかると信じて下さい。

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円錐角膜といわれたが、ハードコンタクトレンズは安い眼鏡店、コンタクトレンズで購入したい

円錐角膜に対するコンタクトレンズ処方は非常に高いレベルの処方技術を要します。また専門家が最大の技術を駆使しても、何回かコンタクトレンズを交換しなければならないこともあります。処方技術が未熟なところでコンタクトレンズを作成するということは、お金を無駄にするようなものです。眼鏡店、コンタクトレンズ量販店で処方された円錐角膜患者のコンタクトレンズを診察すると、まったく合っていないことの方が多く、そのようなコンタクトレンズでは円錐角膜が逆に進行してしまいます。またハードコンタクトレンズは1枚1枚ばらつきがあり、たとえ同じ規格のコンタクトレンズをオーダーしても、同じものが出来るわけではありません。微妙な違いが円錐角膜では影響します。処方箋をもらって購入すると言うことも実質上不可能です。やはり円錐角膜の方は専門家にすべてを任せた方が得策です。

円錐角膜で通院しているが、急に目の前が白くなって、ほとんど見えなくなった。

円錐角膜患者にみられた
急性水腫(デスメ膜破裂)

あわてず急がず、円錐角膜の専門家の診察を受けてください。急性水腫、あるいは、デスメ膜破裂といって、角膜の内に水が入った状態だと思われます。水は、外からではなく、目の中から角膜内に入ってきます。以前は、緊急で角膜移植術を施行していましたが、その後の研究で、緊急の手術は必要がないことが立証されています。適切な治療により1ヶ月〜2ヶ月で角膜内の水は引き、角膜の透明性も回復してきます。水が引けば、コンタクトレンズの装用も出来るようになります。急性水腫(デスメ膜破裂)になる前よりも、コンタクトレンズが乗りやすくなることも少なくありません。


円錐角膜にリングを埋め込む手術があると聞いたが、どのような手術?

円錐角膜患者に挿入された
角膜内リング(ICR)

一部のクリニックで、積極的に行われているようですが、決してコンタクトレンズに勝る矯正方法ではありません。この手術を受けたにもかかわらず、結果に不満があり、多くの方が当院を受診しています。そのような方の不満は、裸眼視力は多少良くなったが、それだけでは生活が出来ない。以前よりもコンタクトレンズの装用感が悪くなった。視野が狭くなった。近くが見にくいなどの不満です。不満があれば、リングは取り出すことが可能と説明は受けているのですが、リングを外す手術をしても、埋め込み手術前に角膜が完全に戻るという保証はありません。リングを入れた状態での長期の予後は不明であり、経過中に急性水腫(デスメ膜破裂)が起きたときは、大変なことになる可能性もあります。

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円錐角膜で、他にも注意しなければいけない目の病気はありますか?

最も注意しなければならないのは緑内障です。円錐角膜では眼圧を正確に測定することは出来ません。測定すると、実際よりも常に低い値に測定されます。そのため眼科医の中でも、円錐角膜の眼圧を信頼できないといって測定しない人もおります。また緑内障は眼底の視神経の所見でスクリーニングするのですが、円錐角膜では眼底写真がぼやけてしまいます。眼科医が直接、眼底を観察しても視神経所見が非常に見にくいことが多いのです。散瞳剤を使うと見やすくなるのですが、円錐角膜では散瞳剤を使うと、散瞳した瞳孔が元に戻らなくなる(実際にはほとんどそのようなことはありません。特殊なケースだけです。)ということが眼科医の中で知られており、どうしても円錐角膜では散瞳剤を使う眼底検査は敬遠されてしまいます。また円錐角膜はアトピーなどのアレルギー疾患を持っている人が非常に多く、ステロイド剤が治療に使われていることが数多くあります。このステロイド剤は眼圧を上昇させ、緑内障を誘発することがあります。ステロイド剤を使用しながら、眼圧、眼底のチェックを受けていない円錐角膜の方が非常に多くおられます。これらの結果として、緑内障が見落とされることが非常に多いのです。


円錐角膜患者にみられた緑内障性視野変化

円錐角膜のコンタクトレンズ処方の成功率は施設のより大きく異なる。

角膜移植術後

円錐角膜に対するコンタクトレンズの処方技術レベルは施設により大きく異なります。積極的にコンタクトレンズ処方を行っている施設では、円錐角膜で角膜移植手術が必要となるケースは5%未満です。逆に、積極的に円錐角膜に対してコンタクトレンズ処方を積極的に行っていない施設では、円錐角膜の30%に対して角膜移植手術を行っている施設があるそうです。角膜移植手術を受け、裸眼や眼鏡で良好な視力を得られるケースは決して多いとはいえません。手術直後は良くても、徐々に視力が悪化し、コンタクトレンズ装用が必要となるケースも少なくありません。安易に角膜移植手術を受けないようにしてください。手術を受けたが、結局、コンタクトレンズ装用をしなければならず、何のために角膜移植術を受けたのかわからないと不満を訴えるケースも少なくないのです。


円錐角膜は遺伝しますか?

以前は、日本人の円錐角膜は遺伝するものは少ないと考えられてきましたが、決してそうではないようです。医学の進歩により、角膜の厚さを簡単に計測できるようになりました。そうすると、円錐角膜の家族の方に、角膜が正常よりも薄い方が多く存在することがわかってきました。円錐角膜は角膜中央部よりやや下方が薄くなって、不正乱視が生ずる病気です。角膜が薄くても、必ずしも円錐角膜が発症するわけではありませんが、円錐角膜の一つの素因として、生来、角膜が薄いということがあるようです。

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